これは、夏休みに入って暫く経った不思議な話しです。

この日は、部活が終わり家に帰ると、熱気のこもった部屋を換気しようと全部の窓を開け、扇風機をつけようとした時です。

「……あれ?」

一瞬、窓から視線を外し、先程開けた窓が全て閉じていたのです。
最初は、気のせいかと思い。もう一度窓を開け、手を洗うために洗面所に行きました。
そして、もう一回窓を見るとやはり窓はきっちりと閉じられ鍵もかけられていました。
ゾッと背筋が凍るのを感じつつ、窓を開けるのを諦めテレビでも見て気を紛らわそうとリモコンをテレビ画面に向けた時です。

「え……⁉︎」

真っ暗な画面に、私の姿と見知らぬ女の子が写っていたのです。
パッと横を見ても、誰もいないのですが画面に目を向けると確かに女の子が私の横に写っているのです。
服装はボロボロで、白いブラウスと赤いスカートを履いてました。
片腕はなく、顔は俯き表情は読み取れませんでした。

「(もしかして、窓を全部閉めたのもこの子のせい?)」

私は、この子から逃げないといけない!と、思い、階段を駆け上って、二階に避難すると、友人のS子に電話をかけました。
この時、何故外に出ず逃げ場のない二階に避難したのか……導かれるように二階に避難しました。

「もしもし?」

数コールで、S子が電話に出てくれたので、今の状況を説明すると、真剣に聞いてくれました。

「……よかった。信じてくれて」

そう言うと、S子は、震える声で言いました。

「そっちから、君の名前を呼ぶ声と階段を上る音がするんだけど……今、君しか家に居ないんだよね?」

ゾワリと寒気が襲う中、電話が切れてしまいました。
耳を澄ませても、階段を上る音も名前を呼ぶ声も聞こえません。
暫く、じっとしていると、インターホンがなりました。
きっと、家族の誰かが帰ってきたのだと思い、無我夢中で玄関まで行き、扉を開けました。

「おかえ……」

帰ってきたのは、母と妹でした。
それと、先程までテレビ画面に写っていた女の子が顔を上げました。
その顔は、半分程抉れており、骨が向き出ていました。
口をパクパクさせ、私に一言言いました。それは、この世のものとは思えない様な地を這う声でした。

【ただいま】

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