私は看護専門学校の学生だった頃、寮に住んでいた。
寮の部屋は1・2年生は二人部屋で3年生になると一人部屋が貰えた。
私は当時2年生で、1年生の同室者がいた。

ある夜、多分2時か3時くらいだったと思う。
部屋のベッドは両側の壁に面していて、ベッドとベッドの間は通路になっていたのだが、そこにペタッと足を下ろす音が聞こえた。
ベッドの周りにはカーテンがかけられるようになっていてカーテン越しに人影が見えた。
(ああ、〇〇ちゃんかな)
私は寝ぼけながら同室者の後輩ちゃんがトイレか水飲みに行きたくて起きたんだろうと思った。
寮内は基本スリッパを履いていて、部屋にある畳のスペースのみスリッパを脱いで上がれるようになっており、そこにコタツ机や冷蔵庫などが置いてあった。
ベッドの間の通路はスリッパで歩く部分だったが、私も同室者も割とズボラなところがあり、夜中に部屋内を歩き回るくらいならば、裸足で歩くことがあった。
足音はペタペタと部屋の畳のスペースの方へ歩いて行った。
しばらくするとまたペタペタとこちらに帰ってくる音がした。
私は同室者が水を飲みに冷蔵庫まで行って、帰ってきたと思った。
夜中で私も半分眠っていて、冷蔵庫の開ける音やカーテンのレールの音は聞かなかったが、夜中に水を飲みに行くことはよくあることなので、特に気にせず眠りについた。

翌朝、朝食を食べながら「〇〇ちゃん昨日夜中に水飲みに起きた?」と何気なく同室者に尋ねた。
すると彼女は急に青ざめて聞き返してきた。
「あの足音、先輩じゃなかったんですか?」

通常版で読む