あれは私がまだ小学校の2年生だった時のことです。父方の伯母にあたる方が、当時まだ33歳という若さにも関わらず、癌になり、手術・治療のかいもなく、亡くなってしまいました。
なにぶん子供の頃のことですから、あまり細かなことはよく覚えていないのですが、その方のお葬式の夜の夢だけは、今でも時折思い出すのです。
彼女は私の父の弟に嫁ぎ、姑(私の祖母)、夫、子供二人と暮らしていました。
祖母とは仲が悪く、うちの母ともあまり折り合いが良くなかったようですが、私にはなぜか優しくしてくれていました。
私も彼女にはよくなついていたんじゃないかと思います。
彼女が亡くなった時にはとても悲しかったのを覚えています。
学校から帰ると、すぐさま服を着替えさせられて、お葬式に連れて行かれました。
田舎のお葬式なので、葬儀場などではなく、彼女の自宅、つまり祖母の家の一番大きな座敷に祭壇がしつらえて、お坊さんが読経をあげ、葬儀が行われます。
白黒の幕が張られ、暗い顔をした大人がたくさん出入りし、線香と菊のむせるような匂いがたちこめ、絶え間なくお経が聞こえる、そんな状況が恐ろしく、よく見知っているはずの祖母の家なのに、まるで知らない場所のようでした。
慣れないお葬式の場が恐ろしかったせいか、私は『なんでこんな式をするんだろうか?これで伯母さんは喜んでいるんだろうか?』と不思議な気持ちでいっぱいでした。

葬儀が終わり、夜も更け、その夜、私の一家は祖母宅に泊まりました。
いつもは大きな座敷に布団を全員分敷いて泊まるのですが、その日はまだ葬儀の後片付けが終わっていなかったために、数人づつ小部屋に分かれて眠ることになりました。
私と母にあてがわれたのは、伯母が生前使っていた部屋でした。
もちろん数ヶ月の入院期間を経て亡くなったので、部屋は既にすっきり片付いていましたが、なんとなく伯母のことが思い出されます。
私はまた、『伯母さんはどんな気持ちでいるんだろうか?』とぼんやり考えながら、寝入ったようでした。

何人かの女性が井戸端会議のように集まって話をしているのに気づきました。
近づくと、そのうちの一人と目が合いました。
その人はにっこり笑って、『どうしたの?』と声をかけてくれました。
他の人たちが何を話していたのかはよくわからなかったのだけど、とにかく話しかけてくれた女性には何か答えたくて、思わず、
『今日は伯母さんのお葬式だったの。だけど、私、なんだか

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