私が通っていた中学校は地元でも有名な「不良中学校」でした。器物破損や近隣住民に迷惑をかける先生に突っかかる喫煙をしているなど大分荒れている中学校でした。そのような環境なので使わない空き教室や図書館は鍵を閉められています。そしてもう一つ、普段は使うことが禁止されている「トイレ」があります。表に鍵が掛けられていて誰も入るこちはできません。そのトイレは一階の下駄箱近くにあり登校してきた生徒は必ずそのトイレの前を通り階段をのぼり教室へ行きます。
ここまでが前提になります。ここから先は私と友人が体験した忘れられない話です。
その日は、部活の先生がいつもより来るのが遅く私と友人は暇だったので学校探検をしていました。校舎内を一周して何気なくあの鍵のかかっているトイレの前を通ると
“コンコン”
と音が聞こえました。私だけでなく友人にも聞こえていたようで二人して一瞬不思議になり鍵のかかっているトイレの前へ行きました。
「いま音したよね?」
「した」
私は音の聞こえたかなという方のドアをノックしてみましたが何もありませんでした。
「もしかしたら、誰か閉じ込められてるのかも?ちょっと見てきて」
友人に言われそのトイレの裏側にある窓を見に行きましたが誰かいるような人影や気配はありませんでした。
「誰もいないよ、聞き間違いしたのかな?」
「そうかもね、もう一回ノックして部室帰ろうよ」
そう友人が言い少し乱暴にドアをノックしました。
「なんもないね」
「聞き間違いだね」
そうしてそのトイレに背を向け部室に帰ろうと歩みを進めた瞬間
“ドンドンドンドン”
内側からドアが壊れてしまうんじゃないかというほどの音が響き渡りました。私と友人は一瞬唖然とし声にならない叫びをあげながら部室へと戻りました。
「なに今の!」
「ありえねーよ!」
「なんで、だれもいなかったのに!」
「知らないよ!」
私も友人もあまりの怖さに部室に残っていたもう一人の友人に事情を話しました。
「あの開かずのトイレからノックする音が聞こえたんだよ!」
「本当だよ!」
「えーウソでしょ?」
「ウソじゃないよ!」
「本当なんだって!」
「えーなら確かめに行くよ」
友人は信じられないといった感じでした、私と友人はある程度落ち着いてきたのでもう一度トイレに行く事にしました。
先頭に部室にいた友人その後ろに一緒にいた友人私と経て並びに