以前、コピペで「ヤマノケ」を見た。
その話では娘からヤマノケがまだ落ちなくて途方に暮れる、と言う終わりだったと記憶している。
実は俺の妹にも、ヤマノケが憑いた。
しかしコピペと違う所がある。
それは、ヤマノケが落ちたと言う事だ。
今回はそれを書きたいと思う。コピペの人にも役に立てば幸いだ。
当時俺は大学生で二十歳、妹は中一で十三歳だった。
妹はよく俺に懐いていて、俺もそんな妹を可愛がっていた。
夏休みのある日、妹と二人でドライブに行こうという事になった。
俺は父の車の運転席で妹を助手席に乗せて、上機嫌だった。
妹は賑やかな方ではなく、いつも大人しい感じだったが、よく笑う可愛らしい子だった。
そんな妹は助手席で珍しくはしゃぎながら、
「どこ行こっか! どこ行こっか!」
と笑っていた。
特に行き先を決めてなかった俺は、
「どこ行こっかな~」
と妹に笑いかけながら適当に走らせていた。
十八時くらいに出発し、海があれば車を止め、波打ち際で妹が裸足で遊ぶのを見守ったり、ちょっと一緒に遊んだりした。
それに疲れた俺たちは車に戻り、適当に走らせ、コンビニを見つけた俺は妹を待たせて車から降り、おにぎり四個とペットボトルのお茶二本を買って車に戻った。
妹におにぎりとお茶を渡すと、嬉しそうにおにぎりを頬張り、
「楽しかったね」
と笑った。
俺もおにぎりを食べながら家に向かって走らせていると、妹が突然、
「止まって! 止まって!」
と言った。
俺たち以外車はいなかったので停めると、
「あそこから帰ろうよ」
妹の指差す先を見ると、森みたいな所への入り口が、ぽっかりと口を開けていた。
俺は怖かったので、
「やだよ。何か居たらどうすんの?」
「楽しそうじゃん、肝試し肝試し!」
結局、駄々をこねる妹に敵わず、そこに入った。
しばらく走るが、うっそうと繁った木々しか無い。
しかも舗装されてない獣道を走っている為、車は終始揺れていた。
隣の妹を見ると、眠そうな顔でぼんやりと窓の外を眺めている。
そろそろUターンして帰ろうと考えていると、フロントガラスに何かが思い切りぶつかった。
ガツンッ!
「きゃあ!」
「うおっ」
咄嗟に急ブレーキを掛ける。妹は押し殺した声で
「何!? 今の何!?」
と、しきりに言っていた。
「ちょっと待ってろ。見てくるから。」
俺は恐る恐る車