これは俺がまだ学生だった頃の話です。

俺は昔から怪談や都市伝説が好きで色んな所でそういった話を蒐集するのが趣味の一つでした。
そんな中で一番にその手の話を豊富に取り揃えていたのは古文の先生でした。

先生にはよく授業と授業の中休みに話を聞かせてもらいました。

先生が話すのは昔からの怪談、平安時代の頃のものもありましたが、先生曰く怪談に出てくる怪物や怪人の類は人が作り出したもの、人がそうであって欲しいと願ったものから生まれると教えてくれました。

そして、先生が言うにはその中に呪いも含まれているとの事で、呪いとは神頼みのものでは無く、願望を実現する為の自分を作り出す儀式というのです。

丑の刻参りもその儀式の一つらしく、あれは元々、自分の体に鬼を降ろす為のものであり、呪いをかけた相手を苦しめるものでは無く、相手を苦しめる自分を作り出す事が前提の様なのです。

この話を聞いて以来、呪うと言う言葉を使うSNSなどで見かけると、自分に得体の知れないものに頼るばかりか、身体に憑かせるなんて知っているのかなと思う様になりました。

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