俺が高校生の時の話
夏休みに入ってすぐ友達から「みんなで集まって肝試しようぜ」ってLINEが来た
友達曰く幽霊が出ることで有名な廃旅館に二人一組で入って一番上の階まで上がり窓から手を振り戻るだけの簡単なルールだと説明された
夜9時頃母親に遊びに行ってくると言って家を出た
目的の廃旅館に着く頃には11時を過ぎていて不気味な程静かだった
適当にペアを決めて最初にYとO次にTとS最後に俺とKの順番に決まった
まずYとOがビビりながら入って行って5、6分ほどで窓から手を振り戻って来た「女の声がした」とか「足音が追いかけてきた」とか色々言って怖がらせてきた
TとSも戻って来てとうとう俺とKの番になった
中に入ると真っ暗で変な匂いがした
途中で懐中電灯の明かりが消えたらと思うと怖くてなかなか進めなかったが何とか無事に最上階に到達した
手を振り下の方に着いた事を知らせて戻る際にふとKがいない事に気がついた
階段を上ってくる時に話していたのでいたはずなのに何処にも姿は無かった
先に帰ったんだと思い階段を下りようとすると下の階からゴトン…ゴットン…ゴトン…ゴットン…と何かをぶつける様な音が聞こえてきた
その時はKが俺を驚かすつもりなんだろうと思い音を立てない様に下の階に下りた
その音は長い廊下の奥の方から聞こえてきた
不思議に思いライトで照らした時俺は全身に鳥肌が立った事を覚えている
20メートルほど先に体育座りをした男がゆっくりと前に転がっていて
頭が床に当たるたびにゴトンと音を立てていた
♪ピロリロリーン ♪ピロリロリーン!
最悪のタイミングでポケットに入っていた携帯に着信が入った
すると俺に気づいたのかゆっくりと姿勢を変えずに俺の方に体を向けた
「ダァァァレェェェ…???」
と機械の様な耳触りな声で発した
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」俺は叫んで階段を駆け下りた
上の階からはゴトン!ゴトン!ゴトン!ゴトン!ゴトン!とものすごい勢いで追いかけてきていた
急いで外に出て一目散に自転車に飛び乗って全力で逃げた
後ろの方でY達が何か叫んでいたが俺は無視して家まで逃げ帰った
俺は今でも忘れない…
こっちを向いた時のあいつの顔を…
真っ白い顔に浮かべた満面の笑みを…