ある昼下がりに子供とうたた寝をした。
気がつくとお昼の4時前で蚊取り線香が消えていた。
何よりも不愉快だったのは、屋台の電球のような生暖かい風だった。
なんだか汗とともに生臭い・・・
空いた小腹が膨れるも、満足できるような記憶とは程遠かった。
パンッ、スー・・・
トン、トン、スー・・・
パンパン・・・
障子に虫が当たる音がしたが、その影は人の頭ほどあった。
長い髪のうち数本が静電気のせいか障子にくっついて、細い影を作った。
ゆっくり、ゆっくり、徐々に上へ上へと登って行く。
登りきれば欄間から・・・
ガラガラガラガラガラガラ!!
祖母が勢いよく玄関を開けた音で、その影はふっと消えた。
そして、ス、スーっと祖母が襖をあけてのぞきに来た。
ホッとしたのもつかの間、呆けた父が祖母の首となたを持って立っていた。
父は私を見てこう言った。
「逃げるぞ!はぁー、は、早くしないと、た、たべられるぅぅうう!」
駆けつけた警察官に父は取り押さえられた。
今は入院した父が早く消えてくれることを願っている。