これは私が直接体験した中で唯一、もしかしたら危なかったかもしれない話である。
私は友人と自転車で旧伊勢神トンネルを訪れ、トンネルの写真を撮るついでにそこを通るはずだった。
旧トンネルには夜に着きそのままトンネルに入ると途中で「コツコツ」と足音が聞こえたため一旦停止した。足音も止まった。人が向こうから来ている可能性もあったがどんな人が来ているかわからないため引き返すことにした。来た道を戻ろうとした時、また足音が聞こえた。同じ音だが明らかに先ほどより速くこちらへ向かってきている。全速力でトンネルを抜け少し走った後、その日はそこで休むことにした。
翌日、旧トンネルの写真を撮りたかった私たちは明るいなら大丈夫だろうと再びトンネルへ向かった。トンネルの外を撮り中へと入る。少し進むと壁に手形のようなものが見えた、おそらく子どものものだろうか。
私も友人もここを通るのはやめた方が良いと判断し新トンネルを通ることにした。特に異常なく通れたのだが、私はトンネルの途中で女性が立っているのを見た。何となく変な感じはしたが下手に触れぬ方が良いと考えそのまま通り抜けた。
後日、トンネルの情報を確認すると子どもと女性の霊が出ることがわかった。私たちが出会ったのはそれかもしれない。あの時女性に接触していたらと思うと少し怖くなる。