これは、私のお母さんから聞いた話です。
私のお母さんは、昔から霊感があり、お母さんの友達も霊感の強い人ばかりでした。
そのなかでも、危ないほど強い霊感を持っていたのが、鷹さんという人でした。
ある日、その鷹さんと、心霊スポットに行くことになったそうです。
そこは昼間でも暗く、あまり人には知られていない場所です。
橋があり、その橋のたもと?というか、手すりのところには、赤茶けた糸がぐるぐる巻にされていました。
その赤茶けた糸のところどころに、ピカピカの大きめの鈴が通されていたそうです。
その橋につくと、霊感が強いもの同士、やばいものを感じだそうです。
「ちょっと、やばいな。帰った方がいいね」
と鷹さんに言われ、全く同じことを思っていた母は、迷わず車に戻りました。
それから、一言も喋らず、帰り道の途中にある祠の前まで来た時でした。
「…俺、危ないわ。死んでしまう」
と、急に鷹さんが、低い声でつぶやいたそうです。
鷹さんはそこで車を止め、祠の前でずっと何かをつぶやいているようでした。
「大丈夫?なにがあったの?」
そう声をかけても答えることはなく、祠の隣にある、人ひとりが入れるくらいの小さな物置小屋のようなところに、入ろうとしていたそうです。
「そこは危ないよ!なにしてるの!?」
そう言って車から降り、必死で止めたそうですが、鷹さんは一言、
「俺朝までここにいるから、朝になったら迎えに来て」
それだけ言って、有り得ないほどの力で鷹さんを掴んでいた母の手を振りほどき、その物置小屋のようなところに入っていったそうです。
なにがなんだかわからないし、何が起きたのかもわからない。
とりあえず車に戻ろう、と思い、母は、車に戻りました。
きっと鷹さんは、私には見えないものが見えたんだ、そう直感で思ったそうです。
それから母は、鷹さんの車で家に戻り、朝まで眠れずにいたそうです。
その間、少しウトウトすると、頭の奥に、鷹さんが震えている映像が流れてくるそうで、寝付けなかったと言っていました。
ふと、時計を見ると朝の五時半になっていました。
迎えに行かなきゃ。
そう思い、急いで支度をして車に乗り込みました。
それから、車を走らせ、やっと祠の場所が見えてきた時でした。
バン!バン!バン!
と、車のボンネットを叩く音と、チリンチリンという鈴の音が、激しく母を襲ったそうです。
「鷹さんが危ない」
直感的にそう感じ、猛スピード