これは私が小学生時代に実際に体験した話です。

私は当時転勤族で、今度引っ越すのと同時に家を買うか建てるかしようと、家族で物件を見て回っていました。

その日は日曜日である物件を見に某所へ来ていたのですが、場所以外イマイチだという話で、そこは選びませんでした。
そして、父の運転で母が助手席、私は後部座席に乗って帰りました。

帰り道の途中、日本でベスト5に入る長いトンネルを通りました。
疲れていた私は車内で睡魔に襲われていたのですが、
窓の外に「なにか」を感じました。

何気なく、引き込まれるかのように視線を窓の外に向けると


ゴォォォン

というなんとも言い難い、重たい空気を察知すると同時に
「なにか」と視線がぶつかりました。
それは




陥没している目でした。

明らかに事故でグチャグチャになった
男の子の顔が、
窓の外に浮かんでいるのです。

見間違いであって欲しいと願いながらよく見ると、窓には私が反射して映っていて、その隣に、男の子の顔がはっきりと映っているのです。

目は陥没していてほぼ真っ黒、

口は通常と違う位置にあり、

顔全体が青あざだらけでした。

心底、見なきゃよかったと思い、怖すぎて声も出せず、直ぐに下を向いて暫く経ちました。
まだトンネルは続いています。
両親の会話が聞こえるくらいまでやっと冷静を取り戻し、「ねー、お母さん、見ちゃった」と言いました。
なんとなくトンネルを出てから、母に事情を説明すると、「それはトンネルの中で事故に遭った人かもしれないね。忘れた方がいいよ。じゃないと取り憑かれたりしたら大変だから」と。
あまりの衝撃でしたし、忘れるなんて無理でしたけど。

後日、その日に見た物件は事故物件だったことが判りました。

母が「もしかしたら、あの男の子が、そこは事故物件だから気をつけてと教えてくれたのかもしれないね。もう少しでお父さんがそこに決めそうだったから。」と話していたのを聞き、ゾッとしました。

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