大学を卒業して最初に勤めた会社での実話です。

とても面倒見の良い上司にお世話になり、プライベート含め相談できる様な関係でした。入社から一年程経つと上司もプライベートなことを飲みの席で打ち明ける様になり、重い精神疾患の妹がいて家族で介護をしていることを話してくれました。休みの日は車椅子に乗せ公園に連れていくことや、夜中は急に発狂する時があり、近所からは迷惑奇妙な目で見られているとのことでした。一度妹さんの話をしてからは、飲みの席では必ず妹さんとの思い出や苦労話をしていました。

私が入社して2年目、急に上司が会社を退職しました。誰にも理由は言わず本当に急な退職でした。引き継ぎもされていないことと私物が少し残っていたので連絡を入れたところ、資料や荷物を持って家まで来て欲しいとのことでした。何か事情があるのだろうと思い、荷物や資料をまとめて日曜日の昼過ぎに上司の家を尋ねました。

チャイムを鳴らすと上司の母親らしい人が出てきました。時間の約束はしていたのですが、公園に散歩に出かけたとのことでした。私は軽く『あっ妹さんとですね~』と言うと『大輔1人よ。』と返答。その後はっとした顔をすると『昔から精神疾患があって妹がいると思い込んでいるの、、5日前に妹が死んだと暴れ出して会社も辞めてしまった。。』と悲しそうに話をしてくれました。上がって待つように言われたが事情を考えて荷物だけ預け帰ることにしました。仕事ではいたって普通だったのに人は解らないものだなと思いました。

次の日その上司から詫びのメールが届き、妹が亡くなって気落ちしていることが書かれていました。名前は『あけみ』というらしい。。最後は話すこともできなくなり静かに亡くなったとのことでした。海が好きだったのでお骨を少し海に撒きたいと書いてあり、海の写真が添付されていました。私は『お悔やみ~。。。。』と当たり障りのない返信をしておきました。

それから連絡もしなかったのですが、2年程経って偶然元上司と会いました。奥さんと赤ちゃんを連れていました。赤ちゃんのことを『あけみ』と呼んでいました。何気ない会話をして奥さんに『将来綺麗になりますよ』と言ったら『男の子なのよ、名前がね~』との返答。。かなり怖くなりました。奥さんは知っているのか、いないのか。でも人はいろいろだと思いました。

それから昔のメールが気になって確認しました。やっぱり妹の名前があけみ。。と添付されていた海の

通常版で読む